自己主張をする上で必須となる前提条件

 

ここで私の例を書こうと思う。

自己主張をするとは具体的にどういうことなのかを。

 

私は昔から家族であっても自分の意見を主張することをしてこなかった。

たとえ些細なことでも。

 

前回の記事に書いたように、自己主張をすると決めて

最初にやったことはこうだ。

 

父親と二人で車に乗っていたときの事。

いつものように車内で煙草を吸おうとする父親を見て、

私の心はこう思った。

”あー、臭いの嫌だな。”

いつもの私だったら、この心の声を無視して

父親が車内で煙草を吸うことに対して何の意見も言わずに

ただ臭いのを我慢していた。

 

でも、今回の私は言ってみたのだ。

「私は、煙草の臭いが嫌だ」と。

自分の意見が言えた事に、とても心が軽くなったのを感じた。

この感覚が大切で、結果的に父親が吸ったとしても私は良かったのだと思う。

 

結果どうなったかというと、

それを聞いた父親は、初めて知ったというような顔をして、

驚いて煙草を箱に戻していた。

その顔に、私は驚いた。

私の中では煙草は臭い、臭いから嫌。というのは当たり前の図式で

父親もそれを分かっていると思っていたのだ。

でも私は生まれて一度もそれについて意見を言ったことはない。

だから父親は、嫌な思いをさせてるなんて思ってもいなかったのだろう。

そのことに初めて気がつき、驚愕した。

自分の中で当たり前だと思っていることでも、

こんな些細なことでも伝える事を怠ると全く伝わらないのだ。

 

自己主張をするとは、こういうことだ。

このような積み重ねで、相手を理解し本物の関係を築いていくのだ。

 

ただしここで重要なポイントがある。

それは、「煙草を止めて」という風に相手の行動まで制限しないことだ。

自分はどう感じるか、どう思っているか、それだけを伝えること。

それを受けて相手がどんな行動を取るかは、私の問題ではない。

そこを理解した上で自己主張をしないと、関係性がこじれるだけだ。

 

 

ここまでが私の実体験で、

次に自己主張が出来ない人の心理を考察していこうと思う。

 

 

自己主張をする前に理解しておくべきこと。

それは、この二つだ。

・自分が感じたことを素直に受け入れる。(自己受容)

・自分が感じたことだけを相手に伝える。(自分と相手の問題を線引きする)

 

恐らく、自己主張をしてるつもりでも人間関係が上手くいかなかったり、

自己主張がそもそも出来ないという人は

この二つの内どちらか(もしくは両方)が出来ていない場合が大半なのだと思う。

 

この二つは健全なコミュニケーションを取る上で必要不可欠なものだ。

 

 

両方できていなかった私の場合で話すと、

昔から周りのご機嫌取りを無意識にしてしまう癖があって

自分の意見というものを相手に伝える事が出来なかった。

例えば食事のメニューを決めるのも、旅行の行き先を決めるのも、

全て相手に合わせてしまう。

自分は違う方が良いと思っていても、

それを言わずに相手の意見に同調してしまうのだ。

 

何故かというと、

≪相手に同調しておけば人間関係は上手くいく≫

という強い思い込みがあったからだ。

 

その奥には、

相手と違う意見を言ったら嫌われてしまうのではないか

私の意見は間違ってるのではないか

自分が主張することで相手に我慢をさせてしまうのではないか

相手に我慢させてしまったら嫌われるのではないか

という不安や恐れがあった。

 

 

つまり、自己主張が課題である人は

自分の意見を言う = 相手に嫌われるかもしれない

この強烈な思い込みが、今のその課題を作っているのだ。

 

この思い込みができてしまった背景には

幼少期の親子関係が大きく影響している可能性がある。

ただし、影響しているだけであって、今からの人生にはもう必要のないことだ。

 

相手に合わせることに違和感を感じていて、限界を感じているならば

この思い込みを変えるしか方法はない。

 

世の中に出回っている思い込みの修正というのは、

認識を間違えるとそれ自体が自分を苦しめることになりかねない。

 

思い込みを変える最も効率的な方法は、

思い込みを自覚して、目的を明確にすることだ。

 

人間関係に関する目的を、

相手に嫌われない関係性から

お互いを尊重し合える本物の関係性へ変換するのだ。

 

目的が明確になれば、手段は自ずと分かってくる。

 

お互いを尊重できるようになるには?

本物の関係性って?

ここを考えて、行動に移せばいい話。

 

嫌われないように生きていかなくてはならないのは

自己受容が足りないのだ。

 

相手に我慢させるのが嫌で自己主張できないのは、

自分がコントロールできない範囲まで抱えてしまっていることが原因だ。

 

だからまず、自己主張をする前に前提として

<自己受容>と<自分と相手の問題の線引き>

これが出来るようになることが必要になってくるのだ。